蛇音/よーすけ
 
地を守るために戦うのを止めてはならないと思った。 
夜風にいくら当たっても体の火照りは冷めなかった。布団の表面と横腹が不快な摩擦を起こした。栗須は自分の拳とまだ矮小な性器を見ながら、あの集落を倒さなければならない、という使命感をそっと胸の中で燃やしていた。
朝になると栗須はすぐ瑞嶋の家へ電話をかけ、「パトロール」には参加できないと伝えた。瑞嶋はしつこく理由を訊いてきたが栗須は答えなかった。答えても瑞嶋は恐らく来ない。あの集落に立ち向かえるのは自分だけだ、と思っていた。
朝食を食べ終わると早速家を出た。そして街中の畑という畑を褐色の少年を探して自転車で彷徨った。夏の日差しは眼球が火照るほど強く
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