蛇音/よーすけ
 
の世代に土地を奪われ、今度は俺たちが街の発展により外から人間たちに主導権を奪われる立場になっている。ならこの土地はいったい誰のものなんだ。
そこまで考えて彼はさらに体が火照ってくるのを感じ、パジャマとパンツを脱いで裸になった。
 ――この街は俺らのものだ。「モンド」も小学校の近くの神社も工場の抜け道も、隣の県と接しているその山だって俺らの土地である。だからもう誰にも奪われないために守る必要がある。
 栗須は拳を目の前に持っていきしばらく見つめた。あの時殴った知らない中学生の腹の皮膚が張り付いているような気がする。だがたとえその皮膚が拳だけでなく腕全体や体を埋め尽くすことになっても、この土地を
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