蛇音/よーすけ
 
に恐怖を抱かせることによって信憑性を得た。そしてその一件以来、クラスのほとんどの奴はその山に絶対近づかない事を心に誓った。
栗須がその写真を見たとき抱いたのは、恐怖というより苛立ちに近いものだった。自分の住んでいる街に見知らぬ集落があるという事実は、まるで自分の家の部屋を勝手に使われているような気がして不快だった。しかも今まで知らなかったのだ。栗須は瑞嶋を誘ってその集落を見に行こうとしたが、瑞嶋は意外にも怖がっている様子だった。「んなもん見に行ってどうすんだよ。生贄とかにされるぜ」と冗談めかして興味のないふりをしている瑞嶋の目は大きく揺れていた。
栗須は家に帰ってから、その噂についてしばらく考
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