観覧車に亡命/コーリャ
 
どれくらい昔のことだったか覚えてないんだけど、そのときの原稿用紙いっぱいにつけられたバツじるし、斜線を引かれた題名はいつでも、わたし覚えていて、それからというもの、わたしはその思想をいつも胸ボタンに掛けていて、おしまい、と言うべきときや書くべきとき、それにふさわしい仕草なんてものの、おしまいのやり方を忘れてしまったので、誕生日とか、夕暮れとか、映画が始まるひと呼吸まえの暗やみ、わざと手放した風船とかを、うまく発音できなくて、たぶん英語が苦手なのも、それが理由で、単語帳にはたくさんの空白があって、綴りがそこにあるだけで、意味が剥落していたから、わたしはいろんなことに絶句で、あるいみ、おしまい、ジ、エ
[次のページ]
戻る   Point(9)