レンズ/草野春心
を注ぐ
庭に集まっていた鳥たちが
やがて何処かへ飛び立ってゆく
君の唇は
文字を読みあげているような
曖昧な形で停止している
けれども
本に刻まれた文字は見えない
言葉は永遠に
溢れる光の渦に溺れ
僕はそれを知ることはできない
硬いベッドの上で
君だけがそれを知り
時の流れるのを感じている
ふいに、僕は
見えないカメラの
見えない無数のフラッシュを浴びる
あちら側がこちら側になり
こちら側があちら側になり
もう、区別はなく
僕と君はその閃光の中で
幾
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