レンズ/
草野春心
幾度と無く巡り会い
微笑みを交わし
ぎこちない話をする
七月が八月とキスをする
十月が三月と抱きしめあう
桃の白い果実が
グラスの水に落ちる
本のページは秋の風に捲れ
老いた男がこめかみに当てた銃の
引き金を引きながら、愛の言葉を口にすると
女は細い手で
光の雨に傘を開く
もしも僕が
それから君が
けれども
だから
永遠に
もう
二度と
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