煤けた夜/ホロウ・シカエルボク
ならば、それはもう内にある時のものと同じものとはもう言えないだろう、曇ったガラスの向うを眺めるように、それは不明瞭になるだろう、そう、なにかを説明しようとする行為は、それをただ曇らせようとしているだけのことに過ぎないのさ
ああ!俺はある夜眠りを忘れて街路に転がり出た!空いてる店などなかった、あのあばずれと出会ったダイナーは半年前に閉められてしまった…酔っ払いにマスターが撃ち殺されてな…あのマスターは銃で撃たれたって死なないんじゃないかと思っていた、鉛の弾はやつの身体の中でロックグラスに落とし込むための氷に姿を変えるんじゃないかと…あるいはライムかなんかにね…不思議なくらい実体を感じさせな
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