煤けた夜/ホロウ・シカエルボク
 
欠乏のように見える、夜空の欠乏のように見えて、俺はいつまでもそれを眺めてしまう、時にはそれが明るくなりすぎて見えなくなるまで…ああ、あの唇…巧妙だけれどとても冷たい、巧妙だけれどとても冷たい、街路と同じ感触のする動脈瘤の様な唇…


俺は時々切り裂きジャックの夢を見る、俺そのものがそこには憑依している、俺は冷たい唇の売春婦を切り刻み、内臓を路面に陳列する、度を越した執着は信仰のように見える、冷たく、湿っていて、獣の息の様な臭いのする様々な種類の内臓…俺は内心恍惚としているけれどそれを表に出すようなことはしない、少しでも表に出してしまえば、それは説明を必要とするだろう、一度説明を必要としたなら
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