煤けた夜/ホロウ・シカエルボク
 
れるために持っていかないでくれ、それは俺という存在を最も辱める行為だ、それともお前はそうと知っていて毎晩ここへやってくるのか、毎晩執拗に咥えこんで…息づかいの中でお前が何を考えているのかなんて俺には判らない、そもそも何かを判りあうというような契約では結ばれてはいない、あれはいつのことだったんだろう?あれにはどんな理由があったんだろう?俺はお前の、そしてお前は俺の、何を必要としてこんな契約が交わされたのだろう?元凶を辿ればそれは、確かにメルヘンの様な奇妙な符号があったのかもしれない、それを運命だと錯覚させるような、巧妙な符号が…そうだ、俺たちは確か薄汚いダイナーでたまたま隣り合わせた、あれはうんざり
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