歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
 
奉者の方々はかような読み方もあるのかと思って頂ければこれ幸いでございます。

 長い前フリでしたがようやく本題に入れますね。本題というのは幸せなものです。『赤い鈴』作中で繰り返し語られる『鈴の音』もきっとそんな幸せを象徴する音色であったのかもしれません。錆色というものが赤みを帯びた茶色で表現されるように、錆というものはわりかし赤みを帯びた色として存在していたりします。かつては幸せを奏でていた小さな鈴。赤く錆び付いてしまった鈴はもう美しい音色を奏でる事は無い。今回はそんな世知辛い話をお届けします。
 あさきの作品には野口雨情のテイストが結構詰まっていて、例えば月光蝶の『シャボン玉』というフレー
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