歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
 
まった青年を想い、少女は葛藤するわけですね。『私のことが愛しいのであれば彼は帰ってくる筈だ!』と。その嗚咽は『本当は私が必要ではなくなったのかもしれない』という失望が増すほどに、それをかき消すように強くなっていくわけです。
 『赤い鈴』の主人公とヒロインというのを世間一般的な追って追われてという関係に当てはめるとしっくりくるわけですね。追いかれられる彼女を追う彼という狩猟本能万歳な関係性。たぶん彼も男の子ですから追うのは好きでしょうし、彼女は彼女で彼に飽きられないために刺激的であろうとした部分もあったんじゃないかなんて思ったりもするわけですが、野郎のメンタルなんていうのは女性のそれと違って紙より
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