歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
そ意義を成していくのかもしれません。
さて、そろそろ閑話休題といきましょう。一体全体何故にあさきがこの『赤い靴』をモチーフにして『赤い鈴』という物語を書き上げたのか。そこにはやはり原題の『赤い靴』では濁された生々しい葛藤に対するアプローチがあったのではないかと思うわけです。つまり、自分の元に帰ってくる筈だという期待と自分の知らない場所で何事も無かったかのように過ごしているのではないかという失望の葛藤に対するアプローチですね。男女の関係というものはこの辺りを描くのに際して実に生々しく作用してくれるものですからあさきの目論見はそういった意味でも面白く思います。
異人さんに連れ去られてしまっ
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