歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
 
意識に少年自身の事も内包されているのかもしれません。つまり五番で描かれている少年の心情というのは物凄く噛み砕いて纏めると『外国にいてもつまらないだろうし異人さんに頼んで帰ってきてまた遊ぼうよ!』という物凄い楽観的な感性と、それが容易に叶わない事を子供ながらに感じ取っているアンニュイな子供心という事になるわけですね。
 しかしながら、この五番の存在があるからこそ三番の詩というのは深みを増していくわけです。五番で描かれる少女の姿というのはある意味、少年の中でこうあって欲しい少女像であるわけですね。少女のいなくなってしまった風景に寂しさを覚えている少年と同様に、少女もまた日本を恋しく思って寂しがってい
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