歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
 
五番では生まれた日本を恋しさに海を眺める少女の姿が描かれています。ああ、そうか。だからこそ『青い目』という描かれ方をされてる可能性もあるのかもしれませんね。異国に定着して異人さんの一人になってしまったから『青い目』になってしまった少女と、日本恋しさに眺めた海の青が瞳に映りこんでいる少女という二つの相反する少女の姿が少年の中にあるわけです。これはもうシュレディンガーの猫ちゃんよろしく日本に留まっている少年には確かめようの無い事なわけですが、この相反する少女の姿こそがこの作品の肝と言ってもいいかもしれません。
 生まれた日本恋しさに海を眺める少女の姿に描かれる『生まれた日本』という言葉の中には無意識
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