歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
五番部分は『幻の五番』なんていう風に読者の中で愛されたり愛されなかったりしていますが、肝心の草稿が雨情の没後に発見されているものですから、どういった理由で世に出なかったのかというのは雨情のみぞ知るといったところでしょうか。
しかしながらこの草稿は雨情自ら没にしたんじゃないかとも思えます。第一に色の対比がありますね。『赤い靴』をはいていた日本に住んでいた女の子が異国に行き『青い目』になってしまったという構図の中で『赤』と『青』が上手く作用しているのですが、ここで日本と異国の間にある海を『青』と表現してしまう事によってこの対比が曖昧になってしまうのですよね。なにより五番を書くことによって少年の心情
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