歌謡曲日和 -あさき 赤い鈴-/只野亜峰
 
ある日突然擦り切れてしまうわけですね。そんな彼女の近況など知らない彼は「そろそろ良いだろう!」みたいな感じでのこのこ彼女の元へ戻っていくわけです。ところがどっこいそこで彼が目にしたものは……!

 これが大まかな『赤い鈴』の物語であるのかと思います。抜けた言い方で収めるのであれば「男女のすれ違い」がテーマであると言いましょうか、男女は分かり合えないんだからちゃんと話し合いましょうね的な教訓と言いましょうか、ままならないのが男女であり男女の面白さでもあるわけで何とも言えない感じであります。
 非常に穿った見方をするならば、彼女の部屋に駆けつけた彼の聞いた「鈴の音」というのは、ともすれば彼との関
[次のページ]
戻る   Point(1)