ケンタッキーフライドチキンを食べた夜は/木屋 亞万
も全力を出すように
俺も二つの肉に無心で
本能のままに齧りついていた
あふれ出る肉汁
気付けば目の前の肉は全てこの身体の中に取り込まれていた
あれほどまでに高貴な(そして香気)な衣にその身を包んでいた
位高き肉塊たちはことごとく食い滅ぼされ
あっというまに骨の山と化してしまったのだ
わずかに骨に残った衣も一つ残らず引っ剥がしご飯にかけて食い尽くす
ちゃぷちゃぷと缶の底に残ったビールも飲み干して
鶏と俺の静かな戦いは落ち着きをみせ始める
その代償は意外に大きい
過剰に摂取した脂肪分がしばらく胃をもたれさせ
夜が更けるほどに取りすぎた塩分が喉を渇かしていく
とりの日の宿敵が
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