架空〜closs-linking〜/伊月りさ
 
ない
ことを望んできたようにみえる
 ( 予定調和の片道ウン車線を無事故で
 ( 予定調和の片道ウン車線を無事故で
そんな予測変換機能が
こどもたちのごっこ遊びまで侵略している

祖母の話を聞くと きまって
地平線が揺れます
靴の裏側のゴムは高騰し
わたしを宙に留める鉄筋コンクリートは慌てて崩れ落ち
わたしは崩れ落ちる
そして 東京の地下鉄のホームにすし詰めになるのは
月曜日のわたしではなく
幼い日の祖母
幼女は母親に連れられてやっと逃げこみ
わたしたちは扉を全力で塞ぐ
「たすけて!」
「あけてくれ!」
外は火の海
わたしたちが焼かれないために
わたしたち
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