架空〜closs-linking〜/伊月りさ
 
たちが全身全霊をかけて焼く 蜃気楼
地平線が揺れる、
黄海をこえる、
幼女の父親は陸軍少尉でした
暗く凍える夜に
襲われて 中尉になりました
わたしには少尉の血だけが流れた
わたしから
暗く凍える夜の血は生まれないか
わたしは泳ぐことができる
思い描くことができる
血を生むことが

地平線は揺れていた
だれと示し合わせたわけでもなく
わたしのあしもとでなく
わたしたちのあしもとを鎮めようとしてきた頃
海は支配できず
みな生存者だった
 (あるがまま) わたしを
         つながないと思う傲慢はない
         自給自足が神ではないことを知って
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