森のエニシダ/Lily Philia
を天国と呼ぼう。」
と、エニシダは云いました。
あたしは丁寧にひとつうなずいて、
「天国はとてもいい匂いがするんだね」
と、云いました。
そうしてエニシダは
神さまのようにもほほえみます。
あたしたちは
ただ
ここに
こうして
息をしていました。
ララの底には
うっすらと
夢の形見にも似た
いきものたちの亡骸が
きらきらと
降り積もって
なりたかったものに
かわってゆきます。
春の沼
とちのきの
一等てっぺんに
ひとりかけておいでは
つぐみです。
のいばらのトンネルをくぐり抜け
すこしずつからだが
透けてゆくよ
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