青空の刃/さすらいのまーつん
 


影は闇の原料ではないのか 星くずをばら撒く濃紺のビロード その天幕は
無数の闇を縫い合わせたものでは なかったのか

青空よ 夜 あんたが去っている間に どれほど多くの眠りが
闇の臥所に夢のあだ花を咲かせているか あんたは知らないとでも 言うつもりなのか

青空よ 夜 あんたが月の裏側で いびきをかいてる間
どれほど多くの子供が 闇に輝く星に願いをかけているか 忘れてしまったのか

どれほど多くの罪人が 星明かりの瞬きに 許しを請うていることか それを 忘れてしまったのか
 
そう言い終えて 燃え尽きたタバコを スニーカーの踵で踏みにじる俺を
青空は 呵呵大笑した
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