七月のこと/DNA
 
隣室で眠る友人の寝息と、近くの高速道を走る車両の音がこんな夜更け、他人の家にて混じりあう。
私は妙に目が冴えてしまい、携帯のディスプレイの灯りを頼りにこんな散文を綴ったりしている。

友人の出してくれたポテチなどを齧りながら、ぼおっとあすの新馬戦のことなどに想いを馳せる。
救急車が近くを通り過ぎ、あ、ドップラー効果、などと意味もなく独りごちる。
煙草に火を付けると、額に汗が滲む。

あれもまた、これくらい蒸す七月の始めのことだったろうか。
同じように特にあてもなく、別の他人の家で過ごした日々が思い浮かばれ、何故だか懐かしくなる。
昼っまからすることもなく私は友人宅で、ごろごろして
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