怪物/コーリャ
敗した。たぶん、金魚は黄金の鳥になりたかったんだと思う。黄金の人っていないのだろうか?
そんな時だって私はなにかを待ちながら生きていた。乳色の海のように浮かぶ地平線と、降りしきる仮定の隕石群の原を、はんぶんこに眺めながら。私は待っていたのだった。車内は夕暮れを運んだ。戯れに唇を寄せた車窓は湿った紋章を浮かべた。私たちは音を微かに立てるくるみ割り人形みたいな気分だった。果実の匂いがした瞬間にバスはトンネルに入った。出し抜けに闇を食道に流し込まれる。暗闇に溺れる。こんなところでは決して眠れなかった。トンネルを抜ける。人類を皆殺しにしようと、彼は誘う。銀紙を延べたような町々。陸橋を超えて。光はどん
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