怪物/コーリャ
どんどん捨てられて、またトンネルに入って、出たときに、私はやっと、ひとごろし。と発音した。バスは次の王国に向かった。
私たちは体内に動物園を経営しているのです。タオルケットで覆面した教祖が高らかに宣言した。私の豚。私の猿。私の熊。私のきりん。私のドラゴン。私のにんげん。木組みの高台にいる教祖はピンクのスーツを着てる。タオルケットが風にはたはた鳴る。丘にずらっと体育座りな私たちはみずからの胸を抱きながら飼育している。私のキメラ、育ちなさい。忘れられた水車のある風物を過不足なく混じらせてしまうみずいろの降雨。私たちの空。私のキメラの飛ぶ空。さあ祈りましょう。祈りましょう。と言う声は獣のそれが混じ
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