心のギャラリー/さすらいのまーつん
草のように、逞しく寄稿してくる人もいるし、数ヶ月に一度、忘れた頃にやってきて、はっとするような美しい翼を蝶のように広げ、また飛び去っていく人もいる。
僕は、人間というのは、基本的に凡庸な存在だと、どこかで信じていた。若い頃は特にその傾向が強かったような気がする。あまり人とのかかわり合いを持たず、表面的な関係ばかりに終始していたせいもあるかもしれない。
例えば休日の午後、電車に揺られて、どこかに遊びにいくとする。
子供連れの夫婦が向かいに座ったとしよう。幼い子供が、まだ二十代と思しき母親にじゃれている。それから、周りをゆっくりと見回す。彼(もしくは彼女)にとって、ここは少し異質
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