猫/MOJO
かである。翌日は定休日だったがおれは出勤日よりはやく起きて猫の様子を見に行った。鳴声は更に元気がなくなり、おれの心を重くした。部屋に上がり、メンテ業者に電話してみると、連休中につき云々とテープがまわっている。おれはベッドにもぐり、じっとしていた。日が傾き、空が茜色に染まった頃、おれはハンマーを持って管理人室へ下り、出窓のガラスを叩き割った。以来、あの猫は姿を見せない。きっと何処か近所の森で仔を生み、育て、トカゲや野ネズミを喰らい、そう遠くないいつか土に還るのだろう。その結末はおれを満足させた。あの猫はほんの短い間だが、ふてくされのおれを癒した。
ここまでで、収まりの良い話だが、実はまだ先がある
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