廃仏毀釈と偶像崇拝/salco
 
託し
たった九○年前に始末した遺骸の為に
現代史が打ち建てた筈の理念を易々と棄てる

皇帝の末路が再び世界を駆け巡る
血みどろで引き回され、髪を引き毟られ
憎しみの只中で小犬のように怯え
三秒後には動かぬ終の顔
この私刑映像は
放送倫理に反するグロテスク
あるいはR指定すべき凄惨だろうか
殺されたのは一人のキッチュな権力者
十万の子供でも百万の非戦闘員でもなく
一国の頂点で恣の特権を行使して来た独裁者
とバーター息子
奴を悪党視するその実
圧政下で被害を蒙ったわけでもない余人に
どんな感情が湧くと?
出る杭は打たれ、腐った実は落ちるまで
いずれにせよ、死体も激
[次のページ]
戻る   Point(5)