廃仏毀釈と偶像崇拝/salco
 

セピア色の印画紙におわす国父の面影へと帰属し
虚ろな現世を埋めんが為
せっせと偶像を彫塑しては
再来だか不帰だか感謝感激だか救済を
祈り、嘆き、捧げ、伏し拝んでいる始末だ

何故なら人間はあまりに愚かで無力であり
民衆はあまりに愚かで非力であり
神と国家と思想
この三位一体のトライアングルの中では
思想という頚木が最も脆く短命であり
政治の力学に常に翻弄され続けるのみで結局
今に至るも民には
未開人よろしく見えざる神意の脅かしと
慈悲に縋って生きるしか方便が無いとは
一体どういうことだ?
二千年も前に処刑された男が象徴するものに
今に至るも至高の平安を仮託し
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