雨のむこうに/さすらいのまーつん
 

靄にかすむ 街灯の白光
闇を深く その懐に手繰り寄せて
離そうとしない 街路樹のたたずまい

心地よい寂しさに酔って
自分の中に燃える 小さな命の火を
随分いとおしく 感じ
排水溝の中を 人知れず流されていく
枯葉や小石の姿に この身を重ね
自分を包み込む世界は あまりにも大きく
取り残された不安より むしろ
大きな腕に抱かれているような 安らぎを感じた

たかが雨に 過ぎないのに

たかが雨に 過ぎないのに

どうしてあんなに
うっとりとした気持ちに なれたのだろう
クスリを使わずに ハイになるようなものだ
しかも 後遺症もない
ぐずぐずと家に帰るの
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