一生寝て暮らしたい/花形新次
頭蓋骨にできた
真新しい裂け目から
溶岩のように少しずつ
少しずつ溢れ出し
酸化され忘れられる
無数の棘で成立した
忌まわしい果汁
マイナスの体温で
初めて気づかされる
曾祖母の墓標、あるいは悔恨
いつのまにか
湿っぽい表皮に
纏わりついた
億千万の悔恨に苛まれて
俺の気管支は
初秋の海岸に取り残された
田淵のフルスイングの波音を奏でる
「ああーん、アンチョビは鰯の塩辛みたいなもんじゃ。」
君は本当に知っていたのか?
君は本当に知っていたのか?
俺はポール牧譲りの指パッチンで
分かった振りをしていただけではないのか!
ハト
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