振り子の夜/つむ
 
間は、
厚くやわらかないのちに掛けられてゆく鉋(かんな)
両手をあげて せめて歌おうか
鳥のように、
形を拒む この日々の青を

さなぎ その中で
まだ羽は濡れている
憩え、白い夢の底に
僕らには悲しみのための一往復が許されている
笑うことも、飛び立つまでの間を
醜くころがることも すべて
与えられた季節のあいだは何もかもが
たたみこまれた皺だらけの羽に
小さな秘密として明かされている

そうしてまた戻って来よう
涙の河の一往復が
胸の小舟をまちうけているだろう
天から白い花びらが降りそそぎ
地平は白にみちる
胸の淵を埋め尽くすまで。
接続をまちがえた夜
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