振り子の夜/
つむ
た夜のかたすみ、
おかしな半月のように掛かる 割られた薬の粒も、
そっと注ぐ牛乳の螺旋も 木蓮の花も なにもかも
白は白の海へ、
音もない落下をつづける
絶望も希望もいちにち一往復が限界だった
空は 遠ければ遠いほどいい
血が血を冷やしたとしても、
そっと剥がれてゆく季節のゆびが
どんなに傷口をくるしめたとしても。
(虹を待つ、ことは
両腕を広げて
地平の無言を抱きしめること、)
ゆこう、
許された一往復を
星降る夜空の振り子のように。
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