水の間(あわい)/ゆべし
る。身体の割に頭が大きくて、赤ん坊を拡大したような不自然さがある。でも、大きな目とおちょぼ口がつくる笑みには年寄じみた狡さがにじんでいる。初めて会ったはずなのに、どこかで見たような気がするのはなぜだろう。
――夢は救いではない。現が救いでないならば、ね。ところで、夢の中であなたは何をしているのかしら?
「ぼくは…眠っている。水槽のような器の中で。口から吐いたあぶくが水面を揺らしている。息苦しくはない。
そして隣には君がいて」
白く柔らかな髪の毛が、藻のように水に揺らいでいる。身体の割に頭が大きくて、赤ん坊を拡大したような不自然さがある。でも、大きな目とおちょぼ口がつくる笑み
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)