探索/葉leaf
1
静かな糸で縛られたふたつの命。命が影のように伸びていくといつか人間にぶつかる。初めまして、僕らこんなに遠かったんだね。お互い嫌いなほうの手で握手しよう。服さえあれば知らない街でもさかのぼってゆける。ひとつの命を口の中に残したまま、晴れきった宇宙の衰亡をたしかめよう。何時に死んだらよいのか分からないので、いまだに死ねずにいる。命を減らすために日光をつぶし続ける。
2
うすら寒い原野にいくつものシーンが棄てられてある。いくつかのシーンが偶然重なって融合を始めている。融合に巻き込まれた土、草、空気、そして私の右足。ひとつのシーンが起ち上がり、胞子をばら撒く、シーンの中では快楽にふけ
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