詩作行為の倫理学/葉leaf
 
益である場合には違った帰属理論が妥当してもかまわないはずである。
 利益を行為に帰属する場合には、単純に、行為がその利益を生み出すのにどれだけ寄与したかを考えれば足りると思う。そして、詩が利益を生み出す場合というのは、基本的にその詩が読まれることによって読者が感銘を受ける場合のことである。金子みすゞの場合、彼女の詩作行為とそれが読まれて読者が感銘を受けるという結果が発生するまでの間に、矢崎らによる発掘という寄与が介在してはいる。だが、直接的に読者に感銘を与えているのは金子の詩作行為に基づいた金子の詩作品そのものであり、金子の詩作行為の読者の利益への寄与度は大きい。それゆえ、読者の感銘に基づく賞賛
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