詩作行為の倫理学/葉leaf
 
、1930年に服毒自殺を遂げ、長らく忘却されたが、矢崎節夫らにより1982年に再び世に送り出され、現在では「わたしと小鳥とすずと」が小学校の教科書に採用されている。金子は、死後50年も経って自分の作品が多くの人に感銘を与えることを恐らく望んではいなかっただろうし、矢崎らが金子を発掘することは一般人に予見不能であったから、金子の詩作行為と現在金子の作品が読者に与えている利益の間には相当因果関係はない。とすると、現在の金子に対する評価は金子には帰属しないことにもなりそうだ。だが、現在の評価を金子に帰属させた方が妥当だと思われる。やはり利益を行為に帰属する場合は、不利益を行為に帰属する場合とは異なる帰属
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