詩作行為の倫理学/葉leaf
 
その詩人に帰属しなくなる。だがそれでよいのか。利益を行為に帰属する場合と、不利益を行為に帰属する場合では、帰属の判断が異なってもよいのではないか。つまり、この場合、賞賛の結果と詩作行為の間に相当因果関係がなくても、賞賛の結果を詩作行為に帰属させてもよいのではないか。
 (3)の場合、詩人自身が高評価を望んでいなくても、それが予測可能なものであれば、多くの読者に感銘を与えるという利益を発生させ、その結果と詩作行為の間に相当因果関係があるのだから、高評価を詩人に帰属させることに問題はない。
 (4)の場合の例として、金子みすゞの例を採り上げよう。金子みすゞは1903年に生まれた童謡詩人であるが、1
[次のページ]
戻る   Point(5)