詩作行為の倫理学/葉leaf
んだことがたまたま偶然実現したようなとき、その結果を主体に帰属させることができるだろうか。例えばある詩人が大きな賞を取りたいと望んだとして、誰もがその詩人がその賞を取れるとは思わなかったが、たまたま特定の審査員の奇矯な趣味からその詩人がその賞を取ってしまった。この場合で、2.2.1で説明した相当因果関係を判断してみる。その特定の審査員がその詩集を選ぶことは、詩人自身が特に認識していたわけでもなく、また一般人が予測できないことだから、その事実は判断材料から除かれ、そうするとその詩人が賞を取ることはなくなるから、その詩人が詩を書いた行為とその詩人が賞を取った結果の間には相当因果関係がなく、その賞はその
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