聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
 
った。
 「あんたみたいなウリ専くんはさ、大学生になってもセックスどころかキスも出来ないわよ。そして人生の旬をとっくに過ぎてソープでドーテー捨てるみじめな未来が待ってるの」
 少年は今にも泣き出してしまいそうだった。少女が軽く頭を叩くと少年は慌ててカギを開け、階段を駆け下りて家を出て行った。少女はカギをかけなおしてベッドに仰向けに倒れ込んだ。

 次の日、意外にも成瀬は昨日よりも気軽そうに少女に話しかけてきた。
 「あの、本、好きなの…?」
 少女は成瀬の顔を一瞥して首を縦に振った。
 「何を読んでるの?」
 少女はうんざりした。彼女はただでさえ普段からイジメの標的にされないよう細
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