聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
かった。彼女は生徒指導室へ呼ばれていた。木戸は、名前は言えないが同じクラスの生徒がサチコがイジメにあっていることを教えてくれたと説明した。サチコは成瀬だと思った。木戸と同席していたスクールカウンセラーは子供たちのイジメの陰湿さを話してみせ自分が無知な教師と違って専門知識や経験があり、理解と信頼のおける人間だということをサチコに示そうとし、親への連絡や同級生やこれからの学校生活への対応はなるべくサチコの意思や希望を尊重すると言った。ただし事態の根本的な解決を図るには、学校心理士と教師と親の連携が重要になるとも言った。サチコは同級生を殺し損ねたと思った。だが安心もしていた。ニュースで報道される同じ年頃
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