聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
年頃の殺人犯のような人間離れした精神力や耐性を自分は具えていないと思っていたからだ。
廃棄場に行くとオープンカーに男子生徒と女子生徒が乗って騒いでおり、周りにも男子1人と女子2人がいた。サチコはうんざりした。
「ねー、いっつもここで何してんのー?」と笑って女子生徒が聞いた。サチコは彼らのほうへ歩いて行った。
「別にー、海見たり」
ポケットをまさぐりカギを握った。
「これからさー、あたしたちもここに来ていいー?」
サチコはそれには答えず微笑を返した。間の悪い沈黙を破るように、ハンドルを回していた男子生徒がクラクションを叩いて「プップー!」と馬鹿でかい声で叫び皆が笑った。もう一
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