聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
を取りだしブラウンのメガネ越しに目を細め「明後日の昼休み生徒指導室にいるから何か相談したいことがあったら来なさい」と言って教室を出ていった。その様子を教室中が見ていて、少女は惨めさと悔しさに席を立って職員用トイレの横にある障害者用トイレにひきこもった。
国語教師が指定した日まではイジメは鎮静化した。もちろんこれは生徒たちの作戦の内だった。
「木戸は目が利くからうざってえよなー」とわざとサチコの傍に雑談場を設けて言うのだった。
「あいつセンコーのくせに全然あたしたち信用してないよね」と女子生徒が男子に合わせて言った。
「信用できるわけねえだろ」と言って男子が女子の頭を叩いた。叩かれた
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