聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
 
れた女子は驚き、一瞬呆然としたがすぐに「もー痛いじゃーん」とおどけた調子で言って周りに合わせて笑った。
 木戸の指定日、2人の女子が談笑しながら生徒指導室に張って、国語教師が部屋から出ていくまで霜村サチコが来なかったことを確認し、再びイジメが開始された。霜村はイジメを受けながら、自分が狂気に達するタイミングと誰を殺害するかを見計らっていた。彼女のカバンの中にはサバイバルナイフが入っていた。
 部屋に閉じこもったサチコは「グロ子のHP」を見ていた。グロ子は自称いじめられっ子の女子高校生で、そのハンドルネーム通り、暴力衝動と呪詛と背徳に満ちたグロい小説をたくさんアップしていた。「これらは全部社会を
[次のページ]
戻る   Point(0)