聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
手段だった。聞き手と話し手のまさかの逆転に、このロボットは人間のように頭がキレるのか、それともこれも単なるプログラムに過ぎないのか、もしかしたらただ純朴な人格設定なだけなのか、推し量ることが出来なかった。そして彼女は自分のことを話したくはなかった。
「あなた面白いわね」
ロボットは沈黙している。
「五時過ぎてるわよ。お知らせしなくてもいいの?」
ロボットの首が少し動く。
「私はなるべく不必要だと思ったことは行いません。特に今のような非常時においては貴方が本当に必要なものを吟味致しております」
少女は賢いと思った。いや、驚くほど高性能なロボットなのだ。教師に有名大学への進学を
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)