聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
はしていないのだった。確かにある意味では生きてもないし、死んでもいない。少女は思い当った。それってあたしじゃん。無性に腹が立った。
「あたしがあんたのこと殺したいと思ったら、あんたは命乞いするだけ?」
「そうです」
「あたしさー、狂ってるからさー、いまめちゃくちゃムカついてんの。説得してみなよ。あたしの心を入れ替えるような過去の偉人の名言でも何でも引用してさ。どうせあんたみたいなロボットは屁理屈しか言えないんだろうけど」
「わかりました。それではまず貴方のことを色々教えてください。私に話してください」
少女はたじろいだ。確かに相手のことを知ること、話を聞くことは交渉の有効な手段
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