聖域なき未来に少女がみた世界/済谷川蛍
 
たない人工物だというつまらなさに落胆した。しかしやはりあの断末魔は単なる破壊防止機能とは違う、このロボットの一個の個性を感じた。
 「生きてんじゃないならさ、あんたここで何してんの」
 「ナニモシテイマセン」
 「それって死んでんじゃん」
 「イエ、サクジツワタクシハ」
 「ちょっと待って、聞き取りにくい。自然な声で喋って」
 ディスクの入れ替わるような音がしてロボットの声がナチュラルなものに切り替わった。
 「昨日私は貴方に時刻をお伝えしました。そして、今日雨が降ることも予報致しました」
 「それだけ?」
 「はい。現時点ではそれだけであります」
 つまり何も活動的なことはし
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