蘇生/草野春心
 
で芳醇だ
  美しい女
  私は彼女を待たせている
  空は穏やかで
  雀のような声が
  遠くの方できらきらとさざめく



  しかし
  十月の豊かな光が
  少しだけその成分を変えたのか
  あるいは角度が変わったのか
  やがて女は静かに変貌をはじめる
  その長い髪は
  先端から
  見る見るうちに根元まで脱色され
  雪よりも白くなってしまう
  唇は凍えたように青く
  乾き、震えはじめる
  まるで巨大な掃除機に吸い取られたように
  肉は削げ
  体は萎み
  彼女は骨と皮だけの生物へと変貌する
  まるで
  十月の豊かな
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