花火/つむ
 
崩れながら流されてゆく白い煙をみていた

宇宙は今日も静かなんだろう
今日なんて概念もないくらい。
広がる黒土みたいにそれは無垢な静けさだろうか
あいにくと僕らは轟音のこちら側に生きてるから
火薬と肥料の臭いと
かすめる渋滞と降りそそぐ花火玉の破片のなかで
こっそり手を握り合って夜空の重みに耐えていて
ただ 次々からっぽに戻される夜にはそれでも
新しい一筋の閃光が
僕らの息をあつめながら真っすぐに真っすぐに昇ってゆく

興奮冷めやらぬ人々が帰途につくころ
妙にしみじみと
きれいだったねって君は言い
僕はなぜだか細い息しかできずに
 明日も犬に水をやるのかな
 明
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