花火/つむ
 
い詩をこっそりメモし
君は無邪気に
拍手の群れに加わっていた

渋滞に苛立つ運転手の列と
あたり一面、たんぼに撒かれた牛糞の臭い
遅れて降りそそぐ花火玉のクラフト紙の
ぶ厚い切れ端はまだ少し熱い気がするね
まぶたを打たれ、痛くもないのに大袈裟に倒れるふりをしたり
墨色の夜空だけ ばかばかしい程ぽっかりと広かった
家の庭では僕の犬が炸裂音と対峙しているかもしれず
このごろは難儀なことばかりで
僕も明日に向かって叫ばなきゃいけないこと たくさんあって

再開した花火はやっぱり豪勢だ
音も凄いね、君は
耳を抑える真似して笑い
僕はひかりが消え去ったあとに
ゆっくり崩れ
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