を/salco
板接した御近所みたいなもンで、銀
座、丸の内以外は目の玉飛び出るような地価じゃありませんでしたよ、当
時は。現にあたしらみたいな者が住んでるンですから。尤もうちは爺さん
の代からの借地でしたが。
「馬鹿言うンじゃないよ。高校ぐらい出とかないと、箸にも棒にもかか
りゃしないよ男は」
「手伝うさ」
「嘘お言いよ遊んでばっかり」
「いいだろうよ、休み中ぐらいよ」
「休み中に手伝わないでいつ手伝うって言うンだよ。漫画本ばっかり読
んでないで、こら、ちっとは勉強」
慣れたもンです。ひょいと拳骨を避けて、あたしは人参さながら座敷を
ゴロゴロ、寝しなの劣情で鍛える筋力
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